静かな8月6日を願う広島市民の会

8月6日の早朝、平和記念公園の玄関口ともいえる原爆ドーム前。
そこには全国各地から慰霊のために大勢の人が訪れ、花が手向けられ、線香が焚かれ、静かに祈りが捧げられているかと思いきや…
実際には自ら全学連を名乗る人たちが幟や横断幕を掲げ、アジ演説をしていたり、ヘルメットをかぶった集団がゲバ棒のようなものを手に立っていたり、はたまたそれらに対抗するような団体もやってきて怒号を飛ばしたり。
加えて多数の機動隊員、警察官、広島市職員が集結するなど平和とは程遠い非日常的な物々しい雰囲気が立ち込め、異様な光景が繰り広げられています。



どのような団体がデモをしているのか?


日本社会主義青年同盟開放派

毎年8月6日の原爆ドーム前には朝6時くらいから様々な団体が集結し、デモ集会などを開催します。
広島市の資料によれば、当日原爆ドーム前に集結するのは、8・6ヒロシマ大行動、日本社会主義青年同盟(社青同)解放派、第九条の会ヒロシマ、日本山妙法寺、在日特権を許さない市民の声(在特会)、日本第一党、民族自警団日本暁乃会。
この中でも特に大規模デモ集会を行うのが8・6ヒロシマ大行動で、広島市の資料によれば団体の中心は中核派です。参加者は例年300~400人程度。デモ集会ののち、行進を開始し、式典会場付近や本通などまちなかを練り歩き、鳴り物を打ち鳴らし、拡声器を使ってシュプレヒコールを行います。
また、青いヘルメットにゲバ棒を持った集団は日本社会主義青年同盟開放派です。前記中核派もこの団体も目的はプロレタリア世界革命。警察白書では極左暴力集団に指定され、マスコミは過激派と呼んでいます。

●中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)とは? ●日本社会主義青年同盟(社青同)解放派とは? ●中核派のYouTubeチャンネル「前進チャンネル」

広島市はこの状況をどう捉えているのか?


8月6日の原爆ドーム前

本来、原爆ドーム周辺は平和記念公園内であり、集会などで利用しようと思えば、広島市公園条例第四条にもとづき、広島市長の許可が必要です。しかしながら、8月6日の朝に原爆ドーム周辺に集結する団体は利用の許可は一切受けておりません。つまり無許可です。
広島市では、これら幟や横断幕を掲げ場所を占拠し、次々と登壇しマイクを使ってアジ演説を行う行為、集団で座り込んだり立ち止まったりして、それに聞き入っている状態を「集会」とみなしておらず、実質、黙認状態。占用を許可しているような状態です。
それどころか、一部団体が占拠している場所をコーンバーで囲い多数の市職員が取り囲んでいます。
市の担当者の説明では、他団体との衝突を避けるため、また通路を確保するためにコーンバーを設置しているとのことですが、傍目に見るとあたかも彼らのために場所取りをし、警護をしているかのようです。

祈りの最中にも響き渡るシュプレヒコール


8・6ヒロシマ大行動のデモ行進

例年、8・6ヒロシマ大行動のデモ行進は、全国から集まった全学連や労働組合のメンバーが加わり数百人規模で実施されます。
原爆ドーム前での集会ののち、平和記念式典に合わせて行進を開始。幟や横断幕を掲げながら、元安川東岸を南下、式典会場周辺を通り平和大通りへ。さらには本通や鯉城通りなどまちなかを終日練り歩きます。太鼓やホイッスルなどを騒々しく鳴らしながら、拡声器を使ってシュプレヒコールを上げます。
表向きは「反戦・反核」を謳いながら、それに乗じて政権批判、首相批判、改憲反対、原発反対、辺野古移設反対、天皇制粉砕などなど、原爆死没者の慰霊や核兵器廃絶、世界恒久平和とは無関係なことまで主張しています。一昨年は韓国人活動家も参加し、韓国をホワイト国から除外したことに抗議して「韓国への輸出規制反対」を叫んでいました。
わが国ではいかなる思想、信条、主義、主張を持とうが個人の自由です。しかしながら、せめて原爆死没者の慰霊ならびに核兵器廃絶、世界恒久平和を祈る場においては控えていただきたいです。広島市としても式典の静謐を保つべく、式典中のデモについては控えるよう団体に要請していますが、現憲法下における言論の自由、表現の自由を盾にとって、拡声器や鳴り物を使ったデモを一向にやめようとはしておりません。

みなさんひとり一人の声を聞かせてください。


平和記念公園内の元安川西岸に掲げられた横断幕

8月6日、平和記念公園内の元安川西岸には「平和記念式典挙行中は、お静かにお願いします」と書かれた横断幕が掲げられています。デモ行進に手を焼いている広島市が行っている苦肉の策ですが、広島市民としてはとても恥ずかしく感じます。
広島市は国際平和文化都市を理想の都市像とし、核兵器廃絶、世界恒久平和を訴えていますが、平和記念式典の静謐を保つことすらできないようでは、核兵器廃絶、世界恒久平和への道は程遠いでしょう。
平和教育を通して「ひろしまの心」の大切さを学んでいる広島の子どもたちは、8月6日早朝の原爆ドーム前の光景や、来賓として招かれている現役の総理大臣への帰れ!コールなど終日繰り広げられるシュプレヒコールをどのような心持ちで見ているのでしょうか?自分にとって不都合な相手に対して「帰れコール」をすることが果たして正しいことなのでしょうか?
「人が嫌がることをしてはいけません」「人に迷惑をかけてはいけません」。これは人としてごくごく当たり前のことです。
彼らの行動は、道徳的に見て、倫理的に見て、いかがなものでしょうか?私たち大人は、子どもたちに対して、どのように説明すればよいのでしょうか?
広島市の松井一實市長もこの問題については何かしら対策を打たねばとお考えですが、言論の自由、表現の自由を盾にデモの権利を主張する彼らに対して強制力を持った対策を講じきれずにいます。
大切なことは、みなさんひとり一人の声。必要なのは一人でも多くの市民の声です。
今のままでは何年経っても改善はなされません。
地域の方やご遺族の方の中には憤りを感じられていたり、嘆かわしく思われたりされているにもかかわらず「言っても仕方がない」「毎年のことじゃけえ」と半ば諦められている方も少なくないです。
しかしながら核兵器廃絶、世界恒久平和と同様、この問題についても諦めてしまってはおしまいです。
まずは現状について知っていただき、改善を望んでいただけるのであれば声を上げてください。行動を起こしてください。何卒よろしくお願いいたします。

広島市にみなさんの声を届けてください。

ご賛同いただける方は広島市企画総務局市民相談センターに投書をしてください。
送り先は、〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6-34 広島市企画総務局 市民相談センターです。
FAX:082-504-2121、E-mail: kocho@city.hiroshima.lg.jp
※ 広島市への投書は下記リンク先の専用フォームからもできます。

>>>市政へのご意見・ご要望<<<

署名活動にご協力ください!

8月6日の静謐な環境の確保を広島市に求めるべく、現在、署名活動を行っております。
署名は以下のフォームからできます。ご家族・友人・知人の皆様方にも呼びかけていただけますと幸いです。

>>>ご署名はこちらから<<<

静かな8月6日を願う広島市民の会について


広島市・松井一實市長に要望書提出

令和2年(2020年)8月6日の平和記念式典後、有志が集まり、当会は結成されました。
これまでFacebookでメンバーを募り、現在までに約1500名の有志が集まっております。
人類史上最初の被爆都市、広島市。広島市で生まれ育った者としては、あの日起きた悲劇を決して忘れることなく、次世代に語り継いでいく。そしてあのような悲劇を二度と繰り返さないことを誓い、御霊安かれと静かに祈りを捧げることが大切だと思います。
当会では、右とか左とかイデオロギーは抜きにして、ただ純粋に8月6日は原爆死没者の慰霊のために静かに祈りたい…そういう思いで8月6日の静謐な環境の確保を実現すべく活動しています。

[代 表]石川 勝也
[これまでの活動]
8月26日 有志が集まり、当会結成
9月14日 広島市・松井一實市長に要望書提出、広島市議会・山田春男議長に陳情書提出
11月6日 勉強会開催
2月17日 広島市議会・山田春男議長に平和推進条例に関する声明文提出

すべての原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げさせていただきます。

TOP